constructs of book and paper: 本や論文の構成要素
上智大学 伊藤 潔
2005年12月28日
book「本」やpaper「論文」の構成要素(construct)について述べます.
book「本」は,chapter「章」から構成され,章は,section「節」から構成されます.
本の全体構成は,
foreword「序文,はしがき」 → preface「序文,はしがき,はじめに」 → table of
contents「目次」 → 本文(chaptersから構成) → references /
bibliography「参考文献」 → index「索引」
です.
foreword「序文,はしがき」は,その本自体の著者や編者ではなく別の人が書いたものです.その本がシリーズの1冊なら,シリーズの編者がシリーズについて記述することもあります.foreword「序文,はしがき」が付いていない本もあります.
preface「序文,はしがき,はじめに」 は,その本自体の著者や編者が書いたものです.table
of contents「目次」 は,各章と各節のページ番号付きのリストです.
references / bibliography「参考文献」
は,その本で引用したり,参考にした文献や資料のリストです.index「索引」は,その本で使ったキーワードのページ番号付きのリストです.
paper「論文」の全体構成は,本ほど大きくなく,
abstract「概要,内容梗概」 → keywords「キーワード」 → 本文(sectionsから構成) → references /
bibliography「参考文献」
です.
abstract「概要,内容梗概」は,論文の内容を数行で記述したものです.abstractは,summary
「要約」と言うこともあります.keywords「キーワード」は,論文の内容を表す数個の重要な用語です.論文の本文は,chaptersから構成されるとはいわないで,sectionから構成されるということが多いです.
本でも論文でも,その第1章に,introduction「はじめに,序章,序論,序説,緒言(しょげん)」というタイトルを付けることが多いです.論文で
は,その最終章に,conclusion
/ concluding remarks「おわりに,結論,結語.結言(けつげん)」を付けます.
introductionについて述べます.これは,"introduce XX to YY"で,「XXをYYに紹介する」と言う意味の方でも必ずしも間違いでもありませんが,「XXをYYの方へ導
く」という方がより適切です.そのintroductionなので,「導入,はじめに,序章,序論,序説,緒言」ということになります.
単にintroductionでなく,例えば,"introduction
to systems engineering"とある時は,"introduce you/readers to systems
engineering"ということで,"introduction (of you / readers) to systems
engineering"で,「システム工学序論」と言うことになります.「システム工学の紹介」では,ちょっと日本語的に変です.toを意識して,「システム工学への導入/序論」でもいいですが,その章
は未だシステム工学には入っていないようなニュアンスもあります.toであっても「システム工学の導入/序論」の方が日本語的に良いようです.この辺が日本語の曖昧さです.
やはり,「システム工学序論」が良いでしょうね.
introductionには,invitationと意味的に重なる(?カブる?)所があるので,「システム工学への誘い」としてもいいです.ですが,少し詩的です
から,論文の場合は使わない方がいいでしょうね.
本や論文で使う用語や記法(表記法で,標記法ではない)を,introductionの次の所に,terminology
and notationとして置くことがあります.
本や論文の内容や作成で助力をいただいた方々や研究費などのサポートをいただいた組織などに対するacknowledgement「謝辞」を,本の場合は,prefaceの最後に行を改めて書き,論文の場合は,conclusionの最後に行を改めて書きます.