演算子,識別子,乗算子,区切り子
上智大学 伊藤 潔
2005年11月3日
広辞苑によると,「XX子」の「子」は,「動作性の名詞に付けて,そのことを行う人,またはもの」とあります.人だと,読書子,編集子などが挙げられています.
動作性の名詞に付けて,そのことを行うもの,特に器械類で,「YY器」で,機械類では「ZZ機」など,これは,一般的によく使われます
.
対応する英語でも,動詞に-erや-orが付いた言葉です.そのうち,人ではない”もの”について,このXX子,YY器,ZZ機が使われます.日常
のrice cooker 炊飯器,washer 洗濯機などがあります.adderは,addに接尾辞erで,加算器です.
amplifierは,amplifyに接尾辞erで,増幅器です.
ものはものでも,器械でも機械でもない,概念的な,記号的なものを,擬人(擬器?擬機?)性を持って,「XX子」というようです.
identifierは,identifyに接尾辞erで,識別子で,簡単に言うと,「他のものと区別ができるように付けられた名前」です.
足す,引く,掛ける,割る,などの演算子(operator)(参照)は,operateに接尾辞orで,演算子です.
multiplierが掛け算をする器械なら乗算器です.日常の用語ではありませんが.式の中の掛け算を表す演算子のことを,「乗算子」と呼ぶこともあります.「式の乗算子を実行する回路では,乗算器が使われる」というのは変ではありません.
YY器,ZZ機ではあまり問題が起きないのですが,この乗算子もそうですが,特記すべきことは,XX子と書かれる可能性のあるものには,一般的な認知度の違いがあることです.ある分野だけ特別に使うことや,専門の分野で自分で命名して使うことがあります.
separatorは,「分離器」ですが,情報の世界で,sentenceの切れ目を表す";"などは,分離記号などといいます.";"が
,sentenceを主体的に(積極的に)切っているという思いを表すのなら,
専門的な言葉で言うと,気持ち的には「分離子」にしたいです.同様に,”: ; , . 、 。”などのdelimiter「区切り記号」は,「区切り子」と呼んでいることもあります.
-erや-orは付いていませんが,拡張子と訳されている言葉があります.これは,例えば,あるファイルが"kieshan.doc"と命名されているとき,file
nameは,"kieshan"で,そのファイルの種類(この場合,document 「文書」)を表す"doc"が,file name
extentionで,日本語で「拡張子」と訳されています.
(^oo^) XX子と関係ない話ですが,adderを”アッダアー”と言うのが時々聞こえ来ます.”アダァ”でしょうね.(^oo^)