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  utilization rate (ratio) and availability rate (ratio): 2つの稼働率

 

 

utilization rate (ratio) and availability rate (ratio): 2つの稼働率

上智大学 伊藤 潔

2013年5月11日
 

 稼働率(utilization rate),使用率(use rate) 占有率(occupation rate)の項で,性能 (performance) の面での稼働率であるutilization rate (ratio)を述べました.Mean Time Between Failures (MTBF)の項で,信頼性の面での稼働率であるavailability rate (ratio)を述べました.ここでは,その違いを対比して説明します.

 まず,性能の面での稼働率は,実際にサービスをしている時間の割合 で

               稼働率 = 実際にサービスを行っている時間の総和 / 運転時間  です.

 これは,次のようにも書けます.

                稼働率 = 総ビジー時間 / ((総ビジー時間)+(総アイドル時間))

 例えば,ある週の座席予約サーバが実際に予約処理していた時間は,月曜から日曜までそれぞれ19, 18, 14, 15, 21, 22, 21時間であったとします.この時間以外は,予約の要求が無かったということで,座席予約サーバは,アイドルだったということになります.座席予約サーバは,毎日24時間運転で,この週は故障がありませんでした.性能における稼働率の値は,(19+18+14+15+21+22+21) / (24*7) となります.

 定義から,稼働率は,1を超えることはありません.稼働率が大きいことは,忙しく働いていることを意味します.

 稼働率1に近くなると, このCPUの使用を要求するタスクは長い時間待たされる ことになります.すなわち,タスクのwaiting time「待ち時間」queue length「待ち行列長」が大きくなります.その結果,それらのタスクに仕事を依頼しているトランザクションやセッションも長く待たされるようになり,トランザクションやセッションのresponse time「応答時間」が悪化します.

 次に,信頼性の面での稼働率は,故障せず稼働している時間の割合で

           稼働率 = 総稼働時間 / (総稼働時間+総不稼働時間) です.

 ここで,不稼働時間は,故障していて使えなかった時間です.信頼性の面での稼働率を,可働率 と書いていることもあります. が 可能 ということで,この方が良いと思われるますが,稼働率を使っている場合が多いようです.

 例えば,一ヶ月(30日とする)のうち,故障せずに座席予約サーバが稼働していた総稼働日数は27日間,故障して使えなかった総不稼働日数は3日間であったとします..信頼性における稼働率の値は,27 / 30となります.

 定義から,稼働率は,1を超えることはありません.稼働率が大きいことは,故障が少ないことを意味します.

 

 

 

 

 

 

 

utilization rate (ratio) 稼働率  

 

     

 

availability rate (ratio) 稼働率,可働率  

 

     

 

performance 性能  

 

     

 

waiting time 待ち時間  

 

queue length 待ち行列長  

 

     

 

response time 応答時間