time: 時間,時刻
上智大学 伊藤 潔
2005年12月22日
英語のtimeは,時間,時刻のどちらかの意味をもちます.hourも時刻を表したり,1時間という時間を表したりすることがあります.日本語では,時間は,時刻と時刻の間隔です.
普通に「時間」を表す例は,time lag「時間遅れ,時間差,時間のずれ」,time
out「時間切れ」があります.time critical 「時間的に際どい」,time sharing
「(CPU)時間分割, 時間共有」,time sharing system : TSS
「タイムシェアリングシステム」,time slice, time
quantum「タイムスライス」など多くあります.
XX timeの形で,XXが事象(event, epoch)を表すとき,XX
timeは,XXが起きる時刻を表すことが多いです.XXがある程度継続する状態や動作を表すとき,XX
timeは,XXに要する時間を表すことが多いです.
情報の分野での後者の使い方の事例は,conversion time「変換(に要する)時間」,cycle
time「サイクル(に要する)時間」,available time「利用可能時間」,average access
time「平均 アクセス(に要する)時間」,execution time「実行(に要する)時間」など多くあります.
トランザクションがサーバの所にやって来てサービスを受ける事例を挙げます.待ち行列モデル(queuing
model)です.トランザクションがサーバに到着する時刻のことを,arrival time「到着時刻」と言います.サーバで処理されまで,前で待っている時間をwaiting
time「待ち(に要する)時間」,サーバで処理されている時間をservice
time「サービス(に要する)時間」,サーバでの処理が終わって去っていく時刻をdeparture time「出発時刻」といいます.すなわち,
arrival time「時刻」→waiting
time「時間」,→service time「時間」→departure time「時刻」
となり,XXが事象のものは,arrivalとdepartureです.XXが継続する状態や動作のものは,waitingとserviceです.
inter-arrival timeは,「到着時間間隔」で,2つの到着時刻の間隔で,「時間」です.interは,「相互の」とか「〜間」とか「〜同士」ですが,inter-arrivalで,「到着という事象間の」timeということで,このtimeは,2つの到着時刻の間隔で,継続しているので,「時間」です.待ち行列モデルでは,average
inter-arrival time「平均到着時間間隔」など,よく出てきます.