ことのはの散策

"inter"という接頭辞

                                                                                                     上智大学　伊藤 潔

                                                                                                         2005年9月16日

interという接頭辞(prefix)の付いた用語が，コンピュータの世界でもよく使われています．このinterの後に付く言葉に対応するものが複数あって，それがほぼ対等な関係にあって，「相互の」とか「〜間」とか「〜同士」を表すものです．

夏にある高校生のスポーツ競技会をインターハイといいますが，これは，inter-high schoolということです．インカレは，inter-collegeです．いずれも，高校間で，あるいは大学間で，競い合うものですね．internationalは，国と国が相互に，ということで，「国際的な」で，international conferenceは「国際会議」，International Organization for Standardizationは，「国際標準化機構」（ISOと略記）ですね．inter-university education program on mechanical engineeringなどと書けば，これは，「機械工学に関する大学間の教育プログラム」ということになります．

コンピュータの世界で，いくつか挙げていきます．

まず，interaction（インタラクション）は，相互のアクションということで，「相互作用」です．action, actが形容詞になって，interactive(インタラクティブ)は，「会話型」，「対話型」です．actionにしろａｃｔｉｖｅにしろ，それを行うものが複数対等に存在して，相互に作用したり対話するものです．interactive systemは，コンピュータ側からの一方的な指示で，人が動くものではなく，人が入力したら，コンピュータが応答し，あるいは，コンピュータが何らかの入力を人に要求して，人が答えるというものです． こういう様子を，human-computer interactionと呼びます．
 

inter-process communication「プロセス間通信」は，コンピュータ上のプログラムの実行主体であるプロセス(タスクとも呼ぶ)が相互に，メッセージや信号をやりとりすることです．

interfaceはなかなか訳せないから，「インタフェース」とカタカナ表記しています．faceとface，面と面が，相互に向かい合うことを表しています．あまり一般的ではないけれど，「界面」と訳す場合もあります．

　コンピュータと入出力装置や他のコンピュータを接続する物理的なインタフェースは，その回路，手順，規約（プロトコル: protocol）を指します．ヒューマンインタフェース(human interface)は，人間とコンピュータのインタフェースで，画面に出力されたり，マウスやキーボードから入力するデスクトップのメニュー，アイコンから成るものです．グラフィカルユーザインタフェース（Graphical User Interface  (GUI)）です．

inter-disciplineという言葉があります．このdisciplineが結構難しい言葉ですが，原理原則，規律，それらを持った分野のことを表します．inter-disciplineは，「分野間」，「分野相互」と訳され，分野や基本原理が違うものが相互交流する際に使われます．これを形容詞にして，inter-disciplinaryという言葉もあります．inter-disciplinary approachは，それぞれが原理原則をもった複数の分野にまたがったアプローチということになります．

interoperabilityというと，「相互運用性」などと訳しますが，operabilityとは，運用できること，運転できることを示し，interoperabilityで，方式の違うようなシステムが互いに繋がって運用できることを意味します．

interrelationshipは，relationships(関係)という言葉に，もっと密接さを付加して，「相互関係」という意味になります．
　

　スイスにInterlaken（インターラーケン）という美しい街があります．この町は2つのlake (湖)の間にあります．