access:アクセス
上智大学 伊藤 潔
2005年11月25日
access(アクセス)は,本来,ある場所に接近したり近づいたりすることです.情報や工学の分野では,様々に使われています.accessは,分野に応じて「接近,立ち入り,利用,読み書き,接続」など様々な訳語があります.もともとの意味の「接近」をそのまま,どこでも使うわけにはいきません.
日常の言葉で,access to stationは「駅への進入路や入り口」です.「接近する」ことになります.人が接近するもので,accessの例として,“physical barrier that prevents access to a hazardous
area”は,「危険な場所への立ち入りを妨げる物理的なバリア」があります.この辺までは,「access=接近」で意味がとれます.
“a readily accessible emergency stop
device”は,「すぐにアクセス可能な非常停止装置」ですが,「すぐに手に触れる場所にある,使える,利用可能な」という感じです.
情報の世界では,「情報,データ,ファイル,データベースを読んだり書いたりすること.あるいは,ネットワークを利用すること」です.確かに接近することですが,「接近」とは訳せず,適切な日本語がないので,「アクセス」と書いていることが多いです.また,「利用」と訳すこともありますが,「利用」だと積極的に近づいていく感じがあまりなくなります.
主記憶や補助記憶のアクセスとは,それらの中にあるデータを,バイトや語やブロックの単位で,読んだり書いたりすることです.ファイルやデータベースのアクセスとは,それらの中にあるレコードを読んだり書いたりすることです.access
time(アクセス時間)とは,データや情報を読んだり書いたりするにかかる時間のことです.
ネットワークアクセスとは,端末からネットワークに繋いでネットワーク内のサーバやデータベースを利用することです.
例を見ます.
access
right「アクセス権」は,データベース,ファイル,システムに対して,追加可/不可,書き換え可/不可,読み込み可/不可などのアクセスの権限です.このアクセス権に従ってアクセスを制御することをaccess
control「アクセス制御,アクセス管理」といいます.access control and
authentication for
DBは,ユーザのもつアクセス権に従って,データベースへのアクセスを管理・認証することです.access
log 「アクセス記録」は,データベースや情報システムに対するアクセスの経過記録,ログです.access
point「アクセスポイント」は,ユーザがネットワークをアクセスする中継装置のある場所のことです.remote
accessは,ローカルエリアネットワークの外から,そのネットワークにアクセスすることです.
(^oo^)1969年頃に読んだ海外のSFの訳の中に,正確な記憶ではないのですが,「……第2の記憶装置へ接近して………」というくだりがありました.そのときは“??”だったのですが,情報の勉強を始めたら,別途すぐに”access
to secondary storage
device”というのが出てきて,「二次(補助)記憶装置の読み書きのこと」と思った経験があります.(^oo^)