プログラムの中の式や代入文について整理します.まず,下記に,関係する日本語と英語を並べます.
定数(constant)は,式やプログラムの中で使う,値が一定のもので,数値そのものを書きます.変数(variable)は,そこに入る数値が変わり得るもので,入る場所に(数字ではない)文字を使って表現します.
変数という言葉は,何気なく使われています.数が一定だったり変わったりすることで,定数や変数という言葉を与えたり,また,variableに「変数」を対応させた(あるいは,そういう訳語を付けた),含蓄のある,先人の言葉の感覚は,尊敬すべきものだと思います.
変数xと定数5で,算術式(arithmetic expression)ができます.x+5と書くと,この算術式の演算子(operator)は,+で,演算対象は,xと5です.算術演算の結果は,数値です.
変数xと定数5で,論理式(logical expression)ができます.ifの中に,x > 5と書くと,この論理式を作る演算子は>で,演算対象は,xと5です.xのほうが大きければ,真,他は偽です.真と偽は論理値といいます.
たとえば,ifの中に,x+5 > y / 3と書いた場合,x+5 > y/3 は論理式で,x+5 と y/3は,算術式です.確認ですが,論理式x > 5の,x も 5も,1つの項から成る算術式です.
y = x / 3と書いたものついては,プログラムでは,代入(assignment)と論理式の二通りの使われ方があります.
例えば,read x
y = x + 3
write y
というプログラムは,xにデータを読んで,x + 3という算術演算を行い,その結果をyに入れる,代入するというものです.
一方,read x, y
if y = x + 3 then ………else ………
では,読み込んだx, yの値で,y と x + 3を比較します.その結果,等しければ then以降を実行し,さもなければ,else以降を実行するものです.
y = x + 3の読み方は,The variable, y, becomes the value of the arithmetic expression, x + 3. または, The value of the arithmetic expression, x + 3, is assigned to the variable, y.です.
if y = x + 3の読み方は,if the value of the arithmetic expression, y is equal to the value of the arithmetic expression, x+3, then
です.
式という言葉の関係語を見ておきます.表の下部分です.expressionは,式,演算式,計算式ですが,いわゆる公式は,formulaですね.等式と呼ばれるのは,equationです.等式(equation)と論理式(logical expression)の区別が難しいですが,前者は,左辺と右辺が等しいという関係を表しており,論理式の方は,その結果,真か偽を出力するものと考えて良いと思います.
equationは方程式とも訳します.simultaneous equationsは,同時に存在する等式群のことですが,等式を同時に成り立たせるような解の変数値はどうなるかということで,連立方程式と訳した先人の知恵は,尊敬すべきものだと思います
連立方程式を解きたいからと言って,プログラムで
y=2x+3
y= 3x+9
write x, y
とは,書けません.プログラムでは1行目と2行目が代入文で,同時に存在する等式ではありません.これは,よく,プログラミングの初心者が間違えることですね.