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compatible: 互換性がある
                                                                                      
上智大学 伊藤 潔
2005年11月7日
						 compatibleは,ジーニアス英和大辞典の説明を要約すると,「ラテン語で,互いに同情するという名詞部分に,able, 
						ibleの“に適している”が付いて,「互いにうまが合う,矛盾しない,共存できる」という意味になり,さらに「互換性
						がある」という意味も持つようになったようです.対応する英語の名詞を探したら,なかなか見つからなかったのですが,リーダーズプラスに,compathy「共感,共有する感情」がありました. 
						compassionと近い関係があります.普通には,この意味ではsympathyを使います.com-で,互いに,passionが情で,同情,哀れみ,思いやりです.同情,共感,共有などが,互換性のある,というのに繋がっていくのは,興味深いです.機械同士に同情,共感があるわけではなく,異なる機械同士で何かが共有できる,互換性があるということです.
						
						 コンピュータの世界で,compatibleというのは,ハードウェアが異なっても,同じソフトウェアが稼働できるとき,ハードウェアは互いに互換性がある,といいます.大型計算機で,IBM-compatibleの計算機がありま 
						す.また,パーソナルコンピュータ(PC)でも,今のPCは,IBM 
						PC/AT-compatibleの流れをくんでいます.PCのハードウェアのメーカが異なっても,OSやアプリケーションが稼働できるということです.OSやアプリケーションレベルで,異なるPC同士でソフトの同じ機能を共有できる,互換性があるということです.
						
						 upward compatible 
						(上方互換性)というのは,機械の機能が増えても(上がっても),もともとのソフトの機能が共有できるということです.PCのハードウェア機能が増強されても,同じOSやアプリケーションが稼働できるということです.
						
						 compatibleはこのようにハードウェア vs. 
						ソフトウェアの場で使われてきた言葉ですが,他の場でも使われています.data/file-compatible 
						「データ/ファイル互換」は,共有する対象がデータやファイルの場合です.異なるワープロソフトで同じ文書データファイルを使用できるのなら,異なるワープロソフトで同じ文書データファイルを共有できる,互換性があるということです.HTMLで記述されたウェブページは,異なるウェブブラウザ(ウェブページをPCで閲覧するためにソフトウェア,このページを見ている今,使っています.)間で,compatibleです.
						
						 脇道ですが,ちなみに,sympathyは,sym-(共に,同調して)とpassionで,同情,共感という感じです.sympathyを感じ合う機械同士ができたら,おもしろいですね.近未来でしょうか? 感情のある知能ロボット,コンピュータでしょうか.