ソフトウェア開発プロセス向きドメインモデル

 ソフトウェアシステムの開発の基幹技術としてドメイン分析・モデリングの重要性が認識されている.これは,複雑で大規模なシステム開発での生産性の向上と再利用の促進のために,同じドメインに属する対象システム自身の本来の各種の性質や開発上の多様な知識を認識し,システム開発に有効な固有なドメインモデルを得る技術である.このモデルは,そのドメインのシステムを繰り返して開発する際のひな型として使われ,開発の生産性と再利用性を向上させる.

 通常のドメイン分析・モデリングの対象は,システム化したい問題群を表すドメイン問題モデルと,システム化した解群を表すドメインプロダクトモデルである.本研究の対象は,これらの開発生産物だけではなく,開発技術も再利用の対象とするためのドメインモデル,即ち,前者から後者を導出する過程を表すドメインプロセスモデルである.この3つのドメインモデルの組を三つ組ドメインモデル(Triadic Domain Model: TDMと略す)と筆者らはよぶ.

(1)レンタルシステム,(2)OLTP的なリアルタイムシステム,(3)リアクティブシステムなどの3つの重要なドメインを分析して,各々のドメインプロセスモデルを見出した.