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研究の進展として論文を書く

  上智大学 理工学部 機械工学科

情報システム講座 

伊藤 潔

1999年6月29日

   論文を書くときにいつもいえることですが,自分たちの過去の仕事の否定,そこまでいかなくても,追加として,新しい論文を書くこと時には,注意を払う必要があります.そもそも,否定するということは,過去の自分たちの成果を否定することであり,度合いによっては,過去の論文を取り下げる必要が出てきます.そうではなく,研究の進展とと共に新しい知見が得られそれを研究し論文化するということが,重要な立場です.過去の論文はこのような欠点があるので,これを直したという,書き方ではなく,研究の進展の中でさらにこのような成果を得た,ということが書けるようにしたいと思います.論文だけそのように書くということではなく,常にそう書けるような研究の進め方をしましょう,ということです.

   自分の過去の論文だけではなく,他人の研究についても,よくある論文の書き方として,その論文の成果の否定から自分の主張を始めるというのがあります.これもよろしくないと思います.よく見かけます.これは論文の書き方を本人が正しく認識していない場合や,あるいは,そういうように書くものだと教えられている場合もあるようです.  それぞれの立場で主張したいことがあるのを認めて,その上で,自分はこういう新しい知見を得た,工夫した,という立場が必要だと思います.本当に間違っている論文なら,何らかのアクションを採る必要があるかもしれませんが,そのような論文を,自分の論文の中では参照しない方がいいでしょう.また,自分たちの論文も間違ったことを書かないように気を付けていきたいと思います.